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I’m Japanese BOB GREEN.
It’s a down right lie.
But I have a longing for him.


静かな夜
(9月3日更新号)


静かな夜だった。
蝉の声がそろそろ落ち着きはじめたからかもしれないが、開け放した窓からは心地
よい涼風しか入ってこない。

静かな夜だった。
いつもなら環状七号線をけたたましく走り去る大型車や二輪車の音も今夜は鳴りを
潜めている。

静かな夜だった。
酔客の喧噪も若者の奇声もなぜか今夜はまったく聞こえてこない……。
ふと違和感をおぼえて時計を見ると、まだ午前0時を少し回ったところだ。

「今夜は不気味なほど静だねぇ」
隣の妻に話しかけてみたが返事がない。
「おい、どうしたのだね」
やはり返答はない。
寝返りを打ち、妻の布団を見ると、そこに寝ているはずの妻の姿がない。
あたりを見回すと、隣室からかすかに灯りが漏れている。
急な不安感にさいなまれた私は寝床を離れ様子を見ることにした。

静かな夜がざわつき始めていた。
耳を澄ますと、かすかだが人の声と、少し荒い息づかいが聞こえてくる。
よこしまな何かを感じつつ、私は隣室にいる人物に気づかれないよう、そっとドア
を開けてみた。すると………!

テレビの画面にはタンクトップ姿の黒人男性が踊ったり歩いたりしてい る姿が。
そしてそれに合わせ、コードレスヘッドフォンを付けて一心不乱に体を 動かす妻の
姿がそこにあった。
「まさか!ビリーズブートキャンプか?!」
思わず私は叫んでいた。私に気づいた妻がヘッドフォンを外して話しかけてきた。

「あら起きたの?明日も仕事なんだから早く寝なさい。アタシも忙しいんだから」

つかのま江戸川乱歩的な猟奇世界に入り込んだようなワクワク感は一気に吹き飛ん
でしまった。ただ、毎夜ボクが眠りについた後、超凶悪極妻君様が黙々とエクササ
イズをこなしている姿を想像すると、別の心地悪さがのど元を締め付けてくる。

………寝よう。眠ってしまおう。こんな夜は何も考えずに寝てしまうのが一番だ。
生暖かい風が首元をすり抜ける不気味さを感じつつ、僕は寝床に戻ったのだった。










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